
水揚げ後に茎や葉から蒸散しますが、そのままにすると少し嫌な臭いがします。それを防ぐには、水揚げ後扇風機などで風を当てて乾燥させます。風通しのよい外に置いてもよいです。水上りは比較的よい花ですが、乾式輸送がメインの花なので、シナっとしていたら湯揚げするとシッカリ上がります。葉は極力取るようにしてください。切花栄養剤を使用し、BA系のミストを茎にかけると日持ちがよくなります。


チューリップ


春を彩る花々の中でも、チューリップは人気知名度ともに一番で、2~3月に出荷のピークを迎えます。この花の魅力はたくさんあります。さまざまな花色、咲き方のバリーエーションに富むばかりでなく、日に日にシルエットと表情、花色を変えてゆく“変化を楽しむ花”でもあります。また、品種によってジューシー、バイオレット、フルーティー、シナモン調の香りを楽しむこともできます。中にはバラ以上に香りによる癒し効果が期待できる品種もあります。
最近は、グラデーションカラーと、フリンジダブルやシックなパーロット咲きなど従来の品種より個性的なデザインとカラーリングの品種が続々とデビューし人気を博しています。
*茎の白い部分には、たくさんの栄養分が詰まっていますから、その部分を切り落とさず飾って頂けると、元気に咲いて長持ちしてくれます。チューリップの歴史は古く6世紀のオスマン朝の壁画にも描かれています。世界で初のバブルを引き起こした、チューリップバブルの時代に的となったモザイクチューリップのような配色の品種も、今では気軽に手の取ることができます。歴史を感じながらチューリップに触れると、よりその価値を楽しむことができますよ。

花首が伸びすぎておらずしっかりしたもの、葉が元気なものを選びましょう。花首の伸長抑制や品質保持のために、前処理された商品にはその記載がありますので、それらをご確認の上お買い求めいただけると安心ですね。

水揚げ時の切戻しは、できるだけ少しだけ切戻します。球根系は茎の下に栄養が残っていることがあるためです。店頭での陳列はできるだけ涼しいところにしてください。15度以下が理想です。冷蔵庫での保管温度は2度くらいの寒さでも大丈夫です。花首の伸長を抑え、開花も遅らせる前処理剤を使用している産地が増えていますので、箱の表示やセリの際に確認して購入しましょう(品種により効果の差はあります)。店頭では花店用の切花栄養剤や球根系専用のものをおすすめします。


ラナンキュラス


“冬のバラ”とも呼ばれるようになったラナンキュラスは、花色、花型もバラに劣らず多彩で、毎年新作もたくさんデビューしています。また、意外にもバラにも似た優しい香りを持った品種もあります。この花の旬は2~3月に掛けてで、2月は特に品質が一番よい季節ですので、見応えのある花が多くとっても長持ちします。市場に出回るラナンキュラスの切花の多くは、実は宮崎の綾園芸、育種家草野修一さんが作出したもので、日本人の手で育種され、日本人向けに品種選抜されています。そして、なんといっても冬の寒い時期でもしっかり花がつくよう品種改良されているのです。最近では、照り花SPタイプのラックスシリーズやカーネーションのような一風変わったモロッコシリーズなど次々新作がデビューしています。また、日本のラナンキュラスは品種のすばらしさと独自の生産手法により、立派な花ができることから、海外のマーケットでも人気を博しており、世界各国に輸出もされています。海外品種では、大輪バイカラーのポンポンシリーズが人気で、毎年ニューカラーがデビューし、話題を振りまいています。生産者のこだわりで花の大小差のある花のですので、なるべく大きいものの方がゆっくり育てられていますので、見応えも花持ちも長い傾向があります。

花弁の多いものや咲いている花を選びましょう。蕾の硬いものはベントネックしやすいので、アフターケアが難しくなります。

水上がりはよいのですが、乾式輸送の場合、切戻した後に水揚げ促進剤を使用するとより確実に上がります。球根系の花としては珍しくエチレンの影響を受ける花の一つです。ですが、STS処理の効果がそれほど見られないため、あまり行われていません。ですから、タバコの煙や車の排気ガス、果物などエチレンガスを出すものには近づけないように心がけましょう。仕入れた時に蕾が固いと茎が折れやすいことがあります。陳列時にも切花栄養剤を使用することで、茎折れを減らし、開花率も高められます。


アネモネ


風の花アネモネは、春一番が吹く頃に最盛期を迎えます。原色の美しさ、花芯と花弁の色のコントラスト、自然な風合いが見事なシルエット、光に反応し開閉し時折々に変える表情等々、魅力が詰まっていて1本でも絵になる花です。長く同じ品種群が占めていましたが、ここ4~5年前頃から、品種改良により新色や大輪タイプなどの品種導入が進み、バラエティが増えて更に人気は急上昇中です!最近人気な品種群は、グラデーションカラーやワインカラー、ダークパープルなのシックで大人な品種群。それと大輪系は、従来品種より花持ちがよいことから人気になっています。アネモネは花ばかりが魅力ではありません。葉の姿もとてもナチュラルでキュート。他の冬の花にはないニュアンスと表情がたまりません。

花弁が肉厚でしっかりし透けていないもの、茎が太くて絞まったものを選びましょう。

水を吸上げる力が比較的強く、特別な水揚げは必要ありません。ですが、室温が高いと花持ちが極端に悪くなるので、お店での陳列温度は低い方がよいです。陳列時に花店用の切花栄養剤を使用することで、お客様の鑑賞日数がのびます。外額の裏側にBA配合のミスト処理をするのもおすすめです。BA配合のミスト商品→フィニッシングタッチ、ミラクルミストなどがおすすめ。

花持ちに関する情報提供協力/クリザール・ジャパン株式会社、パレス化学株式会社、Floralife
取材協力/薄木健友(フルーロン花佳)、宍戸 純(株式会社大田花き)、藤井 大(株式会社京橋花)
フラワーアレンジ・スタイリング、フラワーレシピ/小川典子(一般社団法人花の国日本協議会)、小林礼(la neige)

お客様向け店頭ツールが、無料でダウンロードできます。
大きさは3種類。


→ ダウンロード(PDF)
コンパクトで場所を取らない四つ切りの配布ツールです。花束につけるギフトカードにもぴったり。




→ ダウンロード(PDF)
2等分に切って使える二つ切りタイプです。小さなノートサイズの配布ツールに使えます。




→ ダダウンロード(PDF)
A4サイズの紙、もしくは縮尺して、B5などの用紙に印刷すればカット不要で使える便利なツールです。大きく印刷すればお店の壁に貼って、POP代わりにも活躍します。
フラワーレシピの使い方

写真はサンプルです。
花を長く楽しむ方法や、飾り方、花材の合わせ方など、アレンジの情報が1枚のシートにまとめられています。
ダウンロードも、使用も、完全無料です。
プリントアウトして配るもよし。POPにもよし。大きさは、1/4サイズと、1/2サイズと、1枚サイズの3パターン。お店で使いやすい大きさを選んでダウンロードしてみては?

紙に印刷してハガキサイズにカットすれば配布用ツールに。

大きいサイズを印刷してパネルに貼れば店頭ポップに。

硬めの紙に印刷すれば、花束につけるカードに。
1つのファイルに、今回紹介した4つのレシピが入っています。
「WEEKEND FLOWER」という“コトの提案”を言葉から新たな文化の創造へ
「WEEKEND FLOWER」は、“WEEKEND(ウィークエンド)”という言葉が持つ、ワクワク感、家族や自分へのご褒美感を大切にしながら、花と過ごす心豊かな週末のひとときが「きっかけ」となり、ご自宅に花を飾る習慣が日本にも根付いてほしい、四季のうつろいと共に暮らす文化を再び甦らせたい、と考えています。
季節の花を飾る“日常の素敵”=WEEKEND FLOWER
を花店から発信し、年間52週の商品や売り方の提案に変化を持たせてみませんか?
WEEKEND FLOWER公式HP
http://www.floweringjapan.com/weekendflower/
